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たかが修飾語、されど修飾語。うまく使うポイントは?

はじめまして。1月より専門家@メディアの編集チームのメンバーとなりました、中嶋千智と申します。どうぞよろしくお願いします。

さて本日はバレンタインデー。手づくりのチョコレートを渡した方・受け取った方も多いのでは? (近頃は渡す相手もいないのでご無沙汰ですが)かつては私もバレンタインのチョコレートづくりにいそしんだものです。

そんなチョコレート作りの工程で好きだったのは、なんといってもデコレーション作業。カラフルなトッピングでチョコレートを飾るのはとても楽しく、ついやりすぎてしまうことも。やはりきれいな見た目にするためには、デコレーションもほどよい量とバランスが重要です。

前置きが長くなりましたが、文章における「デコレーション」の役割を果たす“修飾語”。文章中の言葉をすてきに飾りつけてくれますが、むやみやたらに使ってしまうと言葉の意味がわかりにくくなってしまいます。
(そう、デコレーションしすぎたチョコレートのように!)

そこで今回は、修飾語をうまく使って、すてきに文章を飾るポイントを2つご紹介します。どちらもすぐにできるので、文にあわせて適切に使い分けてみてくださいね。

1. 複数の意味にとれる修飾語の位置になっていない? 順番を入れ替えてみる

修飾語を使う際にまず気を付けたいのが、「その修飾語を用いた文は、複数の意味に解釈されてしまわないか? 」ということです。

一体どういうことか、例を見てみましょう。

例)私はコーヒーを飲みながら眼鏡を拭いている志賀さんに話しかけた。

この場合、コーヒーを飲んでいるのは「私」ともとれますし、「志賀さん」ともとれますよね。

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コーヒーを飲んでいるのは志賀さん…? いいえ、志賀さんはコーヒーを飲みません。

このように、読み手によって解釈が分かれかねない文になってしまうと、伝えたい情報が正しく伝わらないことも。

複数の意味にとれる文になってしまった場合、修飾語の順番を入れ替えると解決する場合があります。

たとえば、

例)眼鏡を拭いている志賀さんに私はコーヒーを飲みながら話しかけた。

とすると、

「眼鏡を拭いている」のは「志賀さん」、
「コーヒーを飲んでいる」のは「私」

であることが明らかになりますよね。

また、

例)コーヒーを飲みながら眼鏡を拭いている志賀さんに私は話しかけた。

とすると、どうやら

「眼鏡を拭いている」のは「志賀さん」、
「コーヒーを飲んでいる」のも「志賀さん」

である可能性が高そうです。
(「コーヒーを飲んでいる」のは「私」と言う意味にとれなくもないですが、上述のように解釈するほうがストレスが少ないでしょう)

このように、文章を読み返して「文が複数の意味にとれてしまう」と感じたときは、修飾語の順番を入れ替えてみることがおすすめです。


2.記号を味方に。読点、カッコ、クォーテーションマーク

1で紹介した「修飾語の順序入れ替え」は効果的ではあるものの、文によっては、

「修飾語を入れ替えるとリズムが悪くなる」
「修飾語を入れ替えても文が複数の意味にとれてしまう」

という場合もあるかもしれません。

そんなときに試してほしいのが、読点・カッコ・クォーテーションマーク(引用符)などの記号を使うこと。

こちらも、例を見てみましょう。

先ほど1で紹介した例の、

例)コーヒーを飲みながら眼鏡を拭いている志賀さんに私は話しかけた。

という文は、

「眼鏡を拭いている」のは「志賀さん」、
「コーヒーを飲んでいる」のも「志賀さん」

である可能性が高そうだけれど…「コーヒーを飲んでいる」のは「私」ともとれなくもない。

そんなときは、読点やカッコなど、記号を使ってみましょう。

まず、先ほどの例文に読点を打ってみると

例)コーヒーを飲みながら眼鏡を拭いている志賀さんに、私は話しかけた。
例)コーヒーを飲みながら、眼鏡を拭いている志賀さんに私は話しかけた。

となり、

前者は、「コーヒーを飲んでいる」のは「志賀さん」、「眼鏡を拭いている」のも「志賀さん」
という意味に、
後者は、「コーヒーを飲んでいる」のは「私(あるいは志賀さん以外の誰か)」、「眼鏡を拭いている」のは「志賀さん」
という意味になり、

読点を打つ位置によって文の意味が変わり、「誰が何をしているのか」がわかりやすくなります。


また、カッコを使ってみると

例)「コーヒーを飲みながら眼鏡を拭いている志賀さん」に私は話しかけた。
例)コーヒーを飲みながら「眼鏡を拭いている志賀さん」に私は話しかけた。

となり、

前者は、「コーヒーを飲んでいる」のは「志賀さん」、「眼鏡を拭いている」のも「志賀さん」
という意味に、
後者は、「コーヒーを飲んでいる」のは「私(あるいは志賀さん以外の誰か)」、「眼鏡を拭いている」のは「志賀さん」
という意味になり、

読点と同様、カッコで囲う範囲によって「誰が何をしているのか」がわかりやすくなります。

このように、修飾語の順番を入れ替えずに文を整えたいときには、記号を使うのもおすすめです。


おわりに

文章を書いている際に、

「文の意味がわかりにくい」

と感じたときは、まず修飾語の使い方を見直してみるのがおすすめです。

ほどよく適切なバランスの修飾語で言葉を”デコレーション”すると、より「意味の伝わる」すてきな文になるのではないかと思います。

チョコレートも言葉も、デコレーションは戦略的な工夫がカギなのかもしれません。

(文/中嶋千智 編集/専門家@メディア)

参考:「<新版>日本語の作文技術 (朝日文庫)」本多勝一著

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